大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

盛岡地方裁判所 昭和31年(わ)72号 決定 1982年12月20日

本籍

盛岡市下ノ橋町四番地

(起訴時

同市馬場小路四番地)

住居

同市北山二丁目二一番二九号

(起訴時

同市馬場小路四番地)

無職

(起訴時 会社役員)

中原俊一

明治三九年一一月二五日生

右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件公訴を棄却する。

理由

一  本件公訴は昭和三一年四月三〇日提起されたところ、その公訴事実と罪名は、次の起訴状原文(ただし、金額は訂正後のもの)のうち、分離(判決)した被告人株式会社三一商事と被告人蘆成永を除く、被告人中原俊一に関する部分のとおりである。

公訴事実

被告人株式会社三一商事は昭和二十四年三月四日設立され資本金五十二万円を有し盛岡市平戸五十八番地に本店を設けパチンコ遊戯場の経営パチンコ器械の製作、販売等の事業を営んでいたもの、被告人蘆成永は右会社の代表取締役として同会社の業務一切を統轄主宰していたもの、被告人中原俊一は右会社の支配人として同会社の業務の運営を担当していたものであるが、被告人蘆同じく中原の両名は共謀の上右会社の業務に関し法人税を免れようと企て

第一  被告人会社の昭和二十七年三月一日から同二十八年二月二十八日迄の事業年度の会社の取得にかかる金員中から被告人蘆又は他人及び架空人上山忠一名義及び、佐昭、及川等の印鑑を使用して盛岡市所在の株式会社興産相互銀行本店等に多額の無記名定期預金等を為し会社の所得を秘匿し被告人会社の所得金額は少くとも金七百七十七万六百六十八円であり之に対する法人税額は金三百二十六万三千六百五十円であるのに拘らず之を所定の期日である昭和二十八年四月三十日迄に盛岡税務署長宛にその旨の申告を為さず、因て不正行為を為して少くとも金三百十五万九千六十円(十万四千四百九十円は法定申告ありたるものと見做されているため前記の法人税額から差引く)の法人税を免れ

第二  被告人会社の昭和二十八年三月一日から同二十九年二月二十八日迄の事業年度の会社の取得にかゝる全員中から被告人蘆及び中原名義又は他人及び架空人上山忠一名義及び佐昭、及川等の印鑑を使用して前示の如く興産相互銀行本店等に多額の無記名定期預金等をして会社の所得を秘匿したのみならずその申告期間中である昭和二十九年三月十五日盛岡税務署長に対し被告人会社が清算したることがないのに拘らず清算しその事務終了してこの事業は岡村重孝、中原俊一、豊川光彦三名の個人経営の如くにして岡村重孝は十六万円、中原俊一は五万円、豊川光彦は五万円の年収所得がある旨「昭和二十八年分の所得税の確定申告書」を提出して同官庁を詐偽し、その間の被告人会社の事業年度の所得金額は少くとも金千百四十二万三千二百七円であり之に対する法人税額は四百七十九万七千七百四十円、被告人会社の積立金額が少くとも百三十七万六千百円で之に対する法人税額は六万八千八百円であるに拘らず之を所定の期日である昭和二十九年四月三十日迄に盛岡税務署長宛にその旨申告を為さず以て詐偽及び不正行為を為して少くとも金四百八十一万四千三百円(五万二千二百四十円は法定申告ありたるものと見做されてあるため前記の法人税から差引く)の法人税を免れ

たるものである。

罪名

法人税法違反

同法第四十八条第一項、第二十一条第一項、第五十一条

二  しかるところ、本件公訴が昭和五七年一二月一七日に取り消されたので、刑事訴訟法三三九条一項三号により、本件公訴を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小島建彦 裁判官 竹花俊徳 裁判官 佐久間邦夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例